IoTのポテンシャルについて考えてみる
一昨年くらいから「IoT」(Internet of Things)がいろんな場面でいわれてきている。
実際のところ、どうなんだろうって誰しも思っている事柄かもしれない。
IoTって?
一般的にIoTは、様々な「物」がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みのことを指す。
IoTは「モノのインターネット」といわれていて、「物」がインターネットに繋がることで、いろいろおもしろいことができるよっていうことが簡単な説明。
ここで、IoTでいわれている「物」っていうのは、広義にはスマートフォンとかパソコンとか入るけれど、それに重きを置いてなくて、冷蔵庫、掃除機、
エアコンなどの家電やドアや照明器具などの生活機器、自動車などを指している。消費財だけじゃなくて、BtoB(対法人向け)にも対象となっていて、
センサー単体を指したり、工場で使われる製品を指したりする。なので、IoTの「物」というのは、だいたい身近にある「物」を指している。
これらの「物」にインターネットが繋がることで新たな価値が生み出されるよっていう背景があって、それによって受ける社会的なベネフィットが期待されているから、
ビジネス界では「IoT」、「IoT」って耳にタコができるくらいいわれている。
ただ、実際に社会的なベネフィットを創出できるかどうかは別問題。「IoT」だから、我が社の製品にインターネット連携機能をつけようっていっても、ダメだと思う。
つながったことによって、どんだけ利用者が価値があると思うかどうかなので、結局どうなるかはわからない。会社がIoTによって受けるメリットは製品にも、業界構造にもよると思う。
20年前にも言われてきた
そもそも、IoTっていう物がインターネットに繋がるという概念は20年くらい前からいわれていた。
日本でインターネットが上陸してから時からいわれていて、新聞社各社もインターネットによって、パソコンや携帯電話だけじゃなく、生活家電が変革するとか書いてあった。
大きく取り上げられたのが「インターネットテレビ」である。
テレビにインターネット接続機能をつけることで、テレビにさらなる付加価値をつけるというもの。
この時に、インターネットテレビが出るから、パソコンはなくなると主張している人が多かった(←それを指摘した人、今はどうしているのだろうか?)
たぶん、パソコンよりもテレビの方が上位互換であり、パソコンそのもののポテンシャルはそこまで考えていなかったんだろう。
当時、テレビってどれだけ強かったんだろう。今もそういう人、いるけれど。
テレビだけじゃなくて、他のこともいわれていた。冷蔵庫や電子レンジをインターネットに繋げると、レシピみれていいとか、
エアコンも外から電源のオンオフができるといわれていた。実際に、シャープや日立やパナソニック、東芝など主要各社から
インターネット対応家電が発売されたわけだ。ちなみに、日立はその翌年にはインターネット家電は撤退している。
それから20年近くたって、家電はまた昔と同じことやっている。
ちなみに、新聞や雑誌から取り上げられなくなったけれど、その間粛々と生産はしていた。
2014年くらいになると、パナソニックは大々的にインターネット接続家電をやって、新しい機能を利用者に提供したいと発表している。
だけど、結局、機能面は20年前とあんまり変わらず、だ。
スマートフォンになったので、統合管理とか操作はしやすくなったとは思われるが、それでも、機能的には限定的なものである。
IoTという言葉は違えど、同じようなことを昔からいわれていたのだ。
ちなみに、IoT自体の言葉も1999年には生まれていて、元々はRFIDを研究し、その実用化を促進するときに生まれたものだ。
僕が思うに、結局家電はそこまでIoTによって大きな価値を生み出さない。(起きるとは思うけれど、別のレイヤーになる。しかけるプレイヤーは家電業界自体ではないはず)
当たり前だけど、別のところで恩恵を受けると思っている。
IoTといわれるわけ
結局なんで、IoT、IoTっていわれているのか、それはポテンシャルがあるからだということ。
あんまりブームに乗っかかりたくもないし、バズワードには注意しないといけないんだけれど、物がインターネットに繋がるということに対しては可能性を秘めていると思う。
今週の日経ビジネスでセンサーについて特集されている。
IoTによる価値というのは、下の図のようにサイクルが周り始めて、好循環を生み出していくことで価値が生まれるのだと思う。
どこかが、抜けていても、価値が発揮されない。だから、それをうまく回転しない限りは、たいした価値にはならないはず。
僕が思うのは、右側がAIの領域になる。
ビッグデータを解析をAIがして、そのフィードバック・アクションすらもAIがする。
そんな領域を持っているからこそ、IoT、ビッグデータ、AIが同時に騒がれている。
今後どうなる流れか
上の図のように好循環を生むために、「オープンイノベーション」が加速していく。
自社だけでは生まれないが、他の企業や組織の技術と協業になることで、新たな価値を生み出すことができる。
そこで、早く価値を出したものがサヴァイブできると思う。そのため、スピードも非常に大事になっていく。
結局、サイクルの中でキーとなるのが、センサーでデジタル化させた情報をどのように蓄積し、活用させるかだ。
今後さらに、データを持っていることが強みになっていくと思われる。その中で、自社がどの立ち位置で、強みを構築するかが重要である。
面白くもあるが、すごい時代になることは間違いない。