「社長失格」という本を読んで
2017/11/06
「社長失格」という本を読んだ。
この本が出版されたのは1998年と今から20年も前。
当時のぼくは小学生高学年くらいで、ITとか全く知らなかった時になる。
今更感はあるけれども、色々とことを考えてこの本を読んでみた。
本書は、ハイパーネット設立から破産までを設立者である板倉 雄一郎社長自らが記した内容だ。
ハイパーネットというのは、無料でインターネット接続ができるサービス「HotCafe」を展開した会社だ。
当時画期的なアイデアで、話題にもなっていた(らしい)。しかし、この会社は道半ば倒産してしまった。
本書で、今にはないベンチャーの世界観を味合うことができる。
とはいえ、ベンチャーを成長する、支援するという環境が整っていないという印象も与えてくれる。(今よりもはるかに)
この会社だけでなく、時代に翻弄されてなくなってしまった会社も多く存在するはずだ。
今読んでも価値あるべき点を書いていきたい。
登場人物がすごい
本書に登場する人物で現在活躍でも活躍されている方が多い印象だ。
例えば、iモードの誕生に関わり、社外取締役やメディアなどでも活発的な夏野剛氏や住友銀行取締役を経て楽天副社長になった國重惇史氏。
また友人として登場するGMOの熊谷正寿氏。そして、ソフトバンクの孫正義氏。成毛眞氏、ビル・ゲイツ氏までと、
とてもスケールの大きな物語が展開される。
また、ハイパーネットの主要人も現在活躍されている人が多い。
(実際に検索もしてみた)
現に板倉氏もFacebookで活動を報告しており、スマートフォンアプリを展開している。
すでに20年も前の話であるが、それでも、現在活躍している方が過去に何をしていたかを知るうえでも価値があると思う。
ビジネスアイデアだけで持続的成長は難しい
ハイパーネットはビジネスアイデア先行の会社だ。面白いアイデアがあって、そこからビジネスに持ってている。
たとえ、ビジネスアイデアが優れていたとしても、そこから優れたビジネスモデルに持っていくのは難しいと読んでそう思ってしまった。
単なるアイデアとして、ビジネスシステムが整っていなければ、他社から模倣をされてしまう。
ベンチャーは圧倒的に資本力がないので、大手と真っ向から勝負しても勝つことはできない。
例えば、あるセグメントで唯一無二の存在になったりして、顧客がその自社のサービスや製品を使ってくれないといけないだろう。
自分の判断ミスが大きな影響を及ぼす
本書では資金繰りに苦しんでいる場面が印象的だ。後半は特にお金が尽きる点がナマナマしい。
会社を存続するには、キャッシュ・フローが重要になるが、そういう点が本書で記載されていない。
(優秀な担当者もいたのかもしれないが。。。)
銀行融資にもかなり頼ってしまっていたのも辛い点だ。
当時絶対うまくいくという過信が取り返しつかなくなってしまったのではないだろうか。
また、個人的に思うことであるが、
広い視野をみれば、当時の「BIS規制」などの動きもわかったのではないかと。
その結果、銀行の貸し渋りも気づけたのではないかと思われるが、どうだったのだろうか。
(経営に「もし」はないし、自身はもがいているから仕方なくはある。たしかにわかっていても、気づけないし、辛い点がある。)
現場が大事
本書において、一個人のことは記載されていようと、社員について全く書いていない。
資金繰りに注視しないといけなかった点で仕方ないのかもしれないが。
社員の士気などはどうだったのだろうか。
結局書き方が自分よりも環境のせいにしている感もあり、そういった点が社長としては辛い点はあるが、
責任転嫁している感が否めない。
顧客の視点
もっとも、気になったのが、顧客の視点である。
ベンチャーキャピタル、銀行、会社から評価(?)されていたとしても、結局サービスを使うのは顧客である。
そういった点が非常に軽視している感が強い。本当に顧客に対して、サービスを提供しようと思っていたのだろうか。
顧客の1人である広告代理店の扱いもかなりひどい記述がある。
実際ここらへんはどうだったのか本当に気になる。
(当時、子供であったから、このサービスについてほとんど知らない)
今でも気づきのある内容
実際、起業する人は読んだ本がいい。
それでも、起業したい、会社を創って、何かしたいという人が会社を立ち上げればいい。
そうじゃなければやめたほうがいい。
そんなことを思わせる内容だった。
成功している企業だけが注目されるが、こういった失敗(しかもとても大きな)を知っておくと、
それだけで、どの程度のリスクを抱えるかも知ることができると思う。
簡単に会社は作れる。
ただ、会社自体が存続、成長させるためには尋常じゃないほどの労力を使う。
失うものも大きい。
たしかに起業じゃないと得られない何かはある。それはたしかだ。
簡単なまとめになってしまったが、
そんなことを思わせてくれた本だ。辛くなったが、読んでよかった。